子宮がんについて About Uterine cancer.

子宮がんは、日本全国で1年間に約1万人以上が診断されており、20歳代後半から患者数が増加しているがんです。

以前は40～50歳代が発症のピークでしたが、最近では20から30歳代の若い女性の発症率が高くなっており、患者数と死亡率は共に増加しています。

今回は、早期発見が重要と言われている子宮がんについて解説していきたいと思います。

子宮がんとは

子宮がんとは、子宮に発生する悪性腫瘍です。

子宮がんは、子宮下部にある筒状の子宮頸部に出来る「子宮頸がん」と、子宮上部の袋状の子宮体部に出来る「子宮体がん」に分かれています。

子宮頸がんは、子宮の入り口付近に発生する事が多く、子宮がんの中では発見されやすいと言われています。

子宮体がんは、子宮の内膜から発生するので、子宮頸がんに比べると発見しづらい種類になります。

子宮がんの症状

では次に、子宮がんの症状について解説していきましょう。

子宮がんは、早期の段階では初期症状はほとんど自覚できないがんでもあります。

しかし、その中でもある程度進行してくと自覚出来る症状が出てきます。

子宮頸がんと子宮体がんでは、症状の現れ方が異なりますので分けて説明していきたいと思います。

子宮頸がんの症状としては、「異常なおりもの」「月経以外の出血」「性行為の際の出血」「下腹部痛」などがあります。

また、濃い茶色の膿「うみ」のようなおりものや、水っぽいおりもの、粘液のようなおりものなど、おりものの異常が分かりやすい症状でしょう。

そして、子宮体がんの一番多い症状は「出血」です。

特に、閉経後に出血がある場合は注意が必要です。

また、「性交時の痛み」「下腹部痛」「腹部膨満感」なども、子宮体がんの症状として出てくる事があります。

子宮がんの発生原因とは

それでは次に、子宮がんの発生原因にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。

子宮がんの中でも「子宮頸がん」と「子宮体がん」では、発生原因が異なります。

まず、子宮頸がんの発生原因から見ていきましょう。

子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス（HPV）の感染が原因と言われています。

ヒトパピローマウイルス（HPV）は、性的接触によって感染します。

90%の人は、免疫によってヒトパピローマウイルス（HPV）を排除することが出来ますが、10%の人は排除できず感染が持続するとされているのです。

そして、ヒトパピローマウイルス（HPV）の一部が、がんになる前段階である「前がん病変」を経て、悪性の子宮頸がんへと進行します。

では、子宮体がんの発生原因には、どのようなものがあるのでしょうか。

子宮体がんは、女性ホルモンであるエストロゲンの刺激が長期間続くことで発生する場合と、エストロゲンとは関係ない原因で発生する場合の2通りのパターンがあります。

女性ホルモンであるエストロゲンが関係している場合の原因としては、「出産経験がない」「閉経が遅い」「肥満体型」などが挙げられます。

また、乳がんの治療で使われるタモキシフェンや、更年期障害の治療で使われるエストロゲンを補充する薬を単独で使用する事も、子宮体がんの原因に結びつくと言われています。

そして、エストロゲンとは関係ない原因には、「糖尿病」「血縁者に子宮体がんになった人がいる」というものが挙げられます。

子宮がんの治療方法

それでは次に、子宮がんの治療方法をご紹介していきましょう。

ここでも、子宮頸がんと子宮体がんに分けて、治療方法をご紹介していきたいと思います。

まず子宮頸がんの治療方法には、「手術」「放射線治療」「薬物療法」があります。

単独で行う場合もありますが、それぞれの治療方法を組み合わせて行う事もあります。

手術には、「円錐切除術(えんすいせつじょじゅつ)」「単純子宮摘出術」「準広汎(じゅんこうはん)子宮全摘出術」「広汎(こうはん)子宮全摘出術」「広汎(こうはん)子宮頸部摘出術」があります。

子宮頸部に出来たがんの形や広がり方によって、どのような形で切除するか手術方法を選択します。

放射線治療は、がんに対する主な治療方法の1つで、手術や薬物療法と並んで行われる事もあります。

細胞内のDNAを、高エネルギーのX線やガンマ線などの放射線で直接傷つけることで、治療していく方法です。

ステージに関わらず行う事が出来る治療方法ですが、比較的進行している場合は、細胞障害性抗がん薬とともに放射線治療を行う事が多いです。

そして薬物療法は、主に遠隔転移のある進行がんや、子宮がんが再発した場合に行われる治療方法です。

薬物療法には、「細胞障害性抗がん薬治療」と「分子標的薬治療」があります。

細胞障害性抗がん薬治療では、細胞の増殖の仕組みを利用して、その一部を邪魔する事でがん細胞を攻撃します。

分子標的薬治療は、がん細胞の増殖に関わるタンパク質を標的にして、がんを攻撃する治療方法で細胞障害性抗がん薬とともに使われる事が多いです。

子宮がんの手術後に出やすい合併症

近年では、手術の技術が向上し、手術後の合併症の割合は少なくなってきていますが、一定数の割合では現在でも合併症が起こる事はあります。

ここでは、子宮がんの手術後に起こりやすい合併症についてご紹介していきたいと思います。

リンパ浮腫

子宮がんの手術の際に、リンパ液の通り道であるリンパ節とリンパ管を切り取ることで、リンパ液の通り道が少なくなり足や下腹部がむくみやすくなります。

排尿トラブル

排尿トラブルは、基じん帯を広く切除する「広汎子宮全摘出術」をした場合に起こりやすい合併症と言われています。

「尿が出しにくい」「尿が全部出切らない」「尿がたまった感じがわかりにくい」等の症状があります。

排尿トラブルには個人差がありますが、多くは手術後数週間から数か月程度で回復します。

便秘

便秘は、排尿トラブルと同様に「広汎子宮全摘出術」をした場合に多い合併症です。

比較的、短期間で回復し、排尿トラブルよりも頻度が少ないものになります。

卵巣欠落症状

卵巣欠落症状は、閉経前に両側の卵巣を切除する手術や、放射線治療で卵巣の機能が失われた場合に、女性ホルモンが減少することで起こりやすい合併症です。

具体的には、「ほてり」「発汗」「食欲低下」「イライラ」「頭痛」「肩こり」など、更年期障害のような症状が出てきます。

子宮がんのステージと生存率

子宮がんのステージごとの5年生存率を見ていきましょう。

・ステージ1：93.7%

・ステージ2：77.2%

・ステージ3：57.1%

・ステージ4：21.2%

生存率はあくまで目安です。たとえ進行したステージであっても気をしっかり保つことが重要となります。

子宮がんの予防方法

では、子宮がんの予防方法をご紹介していきたいと思います。

まず、子宮頸がんの予防方法として有効なのは、定期的な検診とワクチンの接種です。

20歳代前半までの女性で、性交渉を経験してから3年以上経っている人の場合は、細胞診という検査方法が有効です。

細胞診は、がんを疑うような異常な細胞がないか調べる検査です。

また、20歳代後半以上の女性の場合は、細胞診とHPV検査が有効です。

HPV検査は、子宮頸がんの原因ウイルスに感染していないかを検査するものです。

そして、子宮体がんの予防方法としては、普段の食事や生活習慣が大きく影響していると言われています。

揚げ物やインスタントラーメンなどを食べる機会が多い人は、子宮体がんの発症リスクが高く、逆に日常的に野菜や豆類を多く食べる人は、子宮体がんの発症リスクが低くなるとされています。

また、子宮体がんは「糖尿病」「肥満体型」なども発症要因とされている為、適度な運動習慣も大切です。

そして、子宮体がんを薬で予防する方法として、低用量ピルが挙げられます。

低用量ピルには、エストロゲンとプロゲステロンの両方が入っているので、ホルモンバランスを整える事ができ、子宮体がんの発症リスクを低下させることが出来るのです。

子宮がん患者の体験談

それでは最後に、子宮がんの患者さん達の体験談をご紹介していきましょう。

37歳　女性

「不正出血がひどい日々が続いて、貧血が気になり婦人科を受診しました。

検査の結果、大きな病院を紹介され翌月には子宮がんと診断されました。

手術で子宮全摘とリンパ節の摘出をし、今は抗がん剤の術後維持療法を開始しています。

抜けてしまった髪も生えてきて、経過観察中です。」

33歳　女性

「20代で子宮がんが見つかり、色々な検査の結果抗がん剤の治療から開始しました。

その後、手術で子宮を全摘し、1週間に1度の抗がん剤は継続しています。

治療開始から吐き気があり、安定剤をもらいながら乗り越えました。

再発の怖さはありますが、前向きに後悔のないように生きていこうと思っています。」

まとめ

今回は、若い女性の発症率が高い、子宮がんについて解説してきました。

子宮がんは、「子宮頸がん」と「子宮体がん」によって予防法や治療方法が異なります。

まずは早期発見が何よりも大切なので、定期的な検診をおすすめします。

===================================================

Uterine cancer is a cancer in which more than 10,000 people are diagnosed every year in Japan, and the number of patients has been increasing since the late 20s.
In the past, the peak onset was in the 40s and 50s, but recently the incidence is higher in young women in the 20s and 30s, and both the number of cases and the mortality rate are increasing.
This time, I would like to explain about uterine cancer, which is said to be important for early detection.

What is uterine cancer?

Uterine cancer is a malignant tumor that begins in the uterus.
Uterine cancer is divided into "cervical cancer" that forms in the tubular cervix in the lower part of the uterus and "cervical cancer" that forms in the sac-like cervix in the upper part of the uterus.

Cervical cancer often occurs near the entrance of the uterus and is said to be more likely to be detected in uterine cancer.
Endometrial cancer originates from the endometrium of the uterus and is a more difficult type to detect than cervical cancer.

Symptoms of uterine cancer

Next, let's explain the symptoms of uterine cancer.
Uterine cancer is also a cancer in which the initial symptoms are hardly noticeable at an early stage.
However, even among them, symptoms that can be noticed appear when it progresses to some extent.
The appearance of symptoms differs between cervical cancer and endometrial cancer, so I would like to explain them separately.

Symptoms of cervical cancer include "abnormal vaginal discharge," "bleeding other than menstruation," "bleeding during sexual activity," and "lower abdominal pain."
In addition, abnormalities in vaginal discharge such as dark brown pus "Umi", watery vaginal discharge, and mucus-like vaginal discharge are easy to understand.

And the most common symptom of endometrial cancer is "bleeding".
Be especially careful if you have bleeding after menopause.
In addition, "pain during sexual intercourse," "lower abdominal pain," and "abdominal bloating" may also appear as symptoms of endometrial cancer.

What causes uterine cancer?

Next, let's see what are the causes of uterine cancer.
Among uterine cancers, "cervical cancer" and "endometrial cancer" have different causes.

First, let's look at the causes of cervical cancer.
Most cervical cancers are said to be caused by infection with the human papillomavirus (HPV).
Human papillomavirus (HPV) is transmitted by sexual contact.
It is said that 90% of people can eliminate human papillomavirus (HPV) by immunity, but 10% cannot eliminate it and the infection persists.
Then, a part of human papillomavirus (HPV) progresses to malignant cervical cancer through "precancerous lesion" which is the stage before cancer.

So what are the causes of endometrial cancer?
There are two patterns of endometrial cancer, one is caused by long-term stimulation of the female hormone estrogen, and the other is caused by a cause unrelated to estrogen.
Causes related to the female hormone estrogen include "no experience of childbirth," "late menopause," and "obese body type."
In addition, it is said that the use of tamoxifen used in the treatment of breast cancer and the drug that supplements estrogen used in the treatment of menopause alone is also linked to the cause of endometrial cancer.

And the causes that are not related to estrogen include "diabetes" and "some relatives have endometrial cancer".

How to treat uterine cancer

Next, let's introduce how to treat uterine cancer.
Here, too, I would like to introduce treatment methods separately for cervical cancer and endometrial cancer.

First of all, there are "surgery", "radiotherapy" and "drug therapy" as treatment methods for cervical cancer.
It may be given alone, or it may be given in combination with each treatment method.

Surgery includes "conization", "simple hysterectomy", "quasi-extensive hysterectomy", "extensive hysterectomy", and "extensive hysterectomy". ) There is a "cervical conization".
Depending on the shape and spread of the cancer in the cervix, the surgical method should be selected.
Radiation therapy is one of the main treatments for cancer and may be given alongside surgery or medication.
It is a method of treating the intracellular DNA by directly damaging it with high-energy X-rays, gamma rays, and other radiation.
It is a treatment method that can be performed regardless of the stage, but if it is relatively advanced, radiation therapy is often performed together with a cytotoxic anticancer drug.

And drug therapy is a treatment method that is mainly used when advanced cancer with distant metastasis or uterine cancer recurs.
Pharmacotherapy includes "cytotoxic anticancer drug treatment" and "molecular-targeted drug treatment".

In cytotoxic anticancer drug treatment, cancer cells are attacked by using the mechanism of cell proliferation and interfering with some of them.
Molecular-targeted drug therapy is a treatment method that targets proteins involved in the growth of cancer cells and attacks cancer, and is often used together with cytotoxic anticancer drugs.

Complications that are likely to occur after surgery for uterine cancer

In recent years, surgical techniques have improved and the rate of postoperative complications has decreased, but complications may still occur at a certain rate.
Here, I would like to introduce the complications that are likely to occur after surgery for uterine cancer.

Lymphedema

By cutting out the lymph nodes and lymph vessels that are the paths of lymph during surgery for uterine cancer, the lymph nodes are reduced and the legs and lower abdomen are more likely to swell.

Urination trouble

Urination problems are said to be a complication that tends to occur when performing "extensive hysterectomy", which removes a wide area of ​​the ligament.
There are symptoms such as "difficulty in urinating", "not enough urine", and "difficulty in understanding the feeling of urine accumulation".
There are individual differences in urination problems, but most of them recover within a few weeks to a few months after surgery.

constipation

Constipation is a common complication of "extensive hysterectomy" as well as urination problems.
It recovers in a relatively short period of time and is less frequent than urination problems.

Ovarian deficiency symptoms

Ovarian deficiency symptoms are a common complication of decreased female hormones when surgery to remove the ovaries on both sides before menopause or when radiation therapy causes the ovaries to lose their function.
Specifically, symptoms such as menopause appear, such as "hot flashes," "sweat," "decreased appetite," "irritability," "headache," and "stiff shoulders."

Stage and survival rate of uterine cancer

Let's look at the 5-year survival rate for each stage of uterine cancer.

・ Stage 1: 93.7%
・ Stage 2: 77.2%
・ Stage 3: 57.1%
・ Stage 4: 21.2%

Survival rate is just a guide. It's important to stay alert, even if it's an advanced stage.

How to prevent uterine cancer

Now, I would like to introduce how to prevent uterine cancer.
First, regular screening and vaccination are effective ways to prevent cervical cancer.
For women in their early twenties who have had sexual intercourse for more than three years, a test called cytology is effective.
Cytology is a test to check for abnormal cells that may be suspected of having cancer.

For women in their late 20s and older, cytology and HPV testing are effective.
The HPV test tests for infection with the virus that causes cervical cancer.

And, as a preventive method for endometrial cancer, it is said that the usual diet and lifestyle have a great influence.
People who often eat fried foods and instant noodles have a high risk of developing endometrial cancer, while those who eat a lot of vegetables and legumes on a daily basis have a low risk of developing endometrial cancer. ..

In addition, since endometrial cancer is also considered to be a cause of onset such as "diabetes" and "obese body type", proper exercise habits are also important.
And low-dose pills are a way to prevent endometrial cancer with drugs.
Low-dose pills contain both estrogen and progesterone, which can help balance the hormones and reduce the risk of developing endometrial cancer.

Experiences of uterine cancer patients

Finally, let me introduce the experiences of patients with uterine cancer.

37 year old female

"I went to the gynecology department because I was worried about anemia because of the terrible days of irregular bleeding.
As a result of her examination, she was referred to a large hospital and was diagnosed with uterine cancer the following month.
She had surgery for total hysterectomy and lymph node removal, and is now starting postoperative maintenance therapy with anticancer drugs.
Her hair that has fallen out is also growing and is being followed up. "

33 year old female

"Uterine cancer was found in my twenties, and as a result of various tests, I started treatment with anticancer drugs.
After that, she had her uterus removed by surgery, and she continues to take anticancer drugs once a week.
She had nausea from the start of treatment and overcame it with a stabilizer.
I am afraid of recurrence, but I will live positively and without regrets. "

summary

This time, I have explained about uterine cancer, which has a high incidence in young women.
For uterine cancer, prevention and treatment methods differ depending on whether it is "cervical cancer" or "endometrial cancer."
First of all, early detection is the most important, so regular examinations are recommended.